ペットは家族、という認識が社会に浸透して10数年余りが経過した現代において、犬が家族と仲良く暮らす様子を見るのは良いものです。なかでも、人間の子どもが大好きで、その子のことを一生懸命心配している犬の様子を見ると、多くの方がその様子をほのぼのしく感じつつも、「この子(愛犬)にとってこの子(子ども)は、どんな存在なのかしら?兄弟のように思ってくれているのかしら?」と疑問に思われるのではないでしょうか? この疑問への答えを一言で表すならば、犬が人間の子どもを「守るべき存在/常に一緒にいるべき存在だと考えているから」と言っていいと思います。自分あるいは周りの人間より小さく、頼りなくておぼつかない動きをする上に、ちょっとしたことですぐに泣き、時には母乳の匂いがして、未熟で、守るべき存在と判断するには十分です。そんな子どもを飼い主さんたちが大切東京農業大学教授(動物行動学)ますだ こうじ増田 宏司25雑誌「いぬのきもち」での解説コメントを担当しており、「犬の幸せ 私の幸せ」や「このくらいはわかって! ワンコの言い分」など著書も多数。動物行動学の研究を通し、飼い主と愛犬の双方が幸せに暮らせる社会を目指している。にしている様子を見ながら生活を送っていれば、おのずと、この子はボクにとっても家族!大切な仲間!と感じるに違いありません。また、子どもに優しくしたとき、仲良くしたとき、助けたときに飼い主さんがうれしそうに自分をほめてくれる、といった経験を重ねることも、犬が子どもとますます仲良くなれる理由の1つです。泣けば心配し、うまくいくように助け、一緒にいろんなことにチャレンジする。犬だって、ご家族と同じように、大切な子どもを心配し、助け、共に成長していくのでしょう。これこそが、犬が人類にとって最良のパートナーと言われるゆえんなのだと、私は考えています。Column犬と人 家族をつなぐ 子は鎹(かすがい)
元のページ ../index.html#25