去年1年間に日本を訪れた外国人旅行者は2500万人余りとなり、新型コロナウイルスの感染拡大前の8割近くの水準まで回復しました。インバウンド需要の回復で一定の経済効果があったものの、一方で外国人のモラルやマナーの問題で一部の地域でトラブルになっています。 マンションにおいても同様で、近年、海外に在住の人が日本のマンションを取得するケースが多くなっていて、マンションの場合、海外在住の区分所有者が管理組合の運営に参加できるのかどうかが問題になります。 議決権を持つ区分所有者が海外にお住まいの場合に、総会資料の案内・委任状・議決権行使書の送付や受領の問題で管理組合運営において支障が出ています。組合員の住所や連絡先も不明なこともよくあり、漏水事故などで室内に入って調査が必要な場合でも区マンション管理士まつもと ひろし松本 洋松本マンション管理士事務所 代表マンション管理の専門家として理事会・総会への出席や、マンションの維持・管理に関する提案や指導を行っている。また、テレビなどのメディア出演やセミナーなども多数こなす。分所有者の了承が取れないと入室が困難になります。専有部分と共用部分が一体になっている配管などの修繕も円滑に実施できません。管理費などの滞納が発生した場合、督促といった法的手続きが複雑で面倒なため、弁護士などの専門家でさえも手を焼いているようです。 政府は、海外に住む分譲マンションの所有者向けに、代理人による管理制度を創設する検討に入りました。総会の議決権行使や修繕の問題だけではなく、国内の代理人が代わりに管理費や修繕積立金を支払えるような条項を加える案も検討するそうです。 これにより、修繕工事など海外在住の区分所有者に代わり、代理人が判断・同意することで進めることができるようになり、早ければ2024年に区分所有法が改正されるかもしれません。 12Columnマンション管理の代理人制度
元のページ ../index.html#12