セラフタイムズ2025年1月号
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まつもと ひろし松本 洋マンション管理士高経年マンションにおける修繕不足の懸念12松本マンション管理士事務所 代表マンション管理の専門家として理事会・総会への出席や、マンションの維持・管理に関する提案や指導を行っている。著書に『マンション管理 知識の窓』(日本橋出版)などがある。 昨年は、国土交通省が5年に1度実施している「マンション総合調査」の発表の年にあたり、先の6月に令和5年度マンション総合調査が公表されました。 それによりますと、修繕積立金の残高が計画に対して不足していないと回答したマンションは39.9%で、修繕積立金の残高が計画に対して不足していると回答したマンションが36.6%、不明が23.5%という調査結果でした。約6割のマンションで修繕積立金が枯渇する可能性があるということになります。主な要因としては、高経年のマンションでは区分所有者の金銭的な負担増は避けたいと考える方も多いため、修繕積立金の値上げを提案しても総会で否決されることが多くなってしまうからです。 同調査では、大規模修繕工事の周期を12年程度とすると、築40年以上のマンションの約4割、築30年以上の約2割が適時・適切な大規模修繕工事が実施できていない可能性があることが報告されています。 それによって、高経年のマンションではハード面において共用部分である外壁などの剥落、鉄筋の露出・腐食、給排水管の老朽化といった生命・身体・財産に影響する問題を抱えるものが多くなっています。 加えて、地球温暖化が進み想定外の気象の変化で漏水事故がさらに多発しており、共用部分の損害保険の高騰がマンション管理組合の頭を悩ませています。 築年数の浅いマンションでも、必ず訪れる老朽化や高齢化の問題に対して“今からできることは何か”ということを考えておく必要があります。Column

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